運送業の基礎知識
2025.12.21

ドライバーの運転手当は割増賃金に含まれる?正しい計算方法や未払い時の対処法を解説

割増賃金 運転手当_ビジュアル画像

「ドライバーの運転手当は割増賃金(残業代)に含まれるのだろうか」と疑問に感じていませんか。

運転手当は、労働の対価として支給される手当として、割増賃金の計算の大元となる基礎賃金に含める必要があります。

この記事では、運転手当の給与計算での位置づけや正しい計算方法、割増賃金の基礎知識をわかりやすく解説します。

ご自身の給与が正しく支払われているか確認するためにも、ぜひ最後まで読んでみてください。

 

ドライバーの仕事探しなら「ドライブエックス」

ドライバーの仕事探しなら「ドライブエックス」
  • 貨物・送迎・配送など多種多様なドライバー求人情報
  • 地域×給与×雇用形態など希望条件で選べる
  • ドライバー業界の求人を豊富に掲載!

ドライバー・運転手・配送の求人情報をお探しの方は「ドライブエックス」へ!

貨物・送迎等の多彩な求人をはじめ、地域や雇用形態など、
あなたの希望にあった求人情報をお届けします。

運転手当は割増賃金の基礎賃金(計算元)に含まれる

ドライバーの運転手当は、割増賃金の計算元となる基礎賃金(1時間当たりの賃金額)に含まれます。

運転手当は、走行距離や業務内容、目的地などに応じて支払われる特別手当であり、「運行手当」と呼ぶ場合もあります。すべての運送会社で支給されているわけではありませんが、仕事へのモチベーションアップや労働の対価を正当に支払う目的で運転手当を設けている会社もあります。

運転手当は運転業務の負担や責任に対する手当であり、労働の対価として扱われます。そのため、割増賃金を算出するときに用いる「基礎賃金(1時間当たりの賃金額)」に含めて計算しなければなりません。

【ドライバー向け】割増賃金に関する基礎知識

まずは割増賃金の定義や種類などを押さえる必要があります。以下で、どのようなケースで割増賃金が発生するのかを説明するので、しっかりと理解しましょう。

割増賃金の種類は「時間外」「休日」「深夜」の3つ

割増賃金の種類は、時間外・休日・深夜の3つに分かれます。それぞれの内容と支払い条件は、以下の通りです。

割増賃金の種類適用条件割増率
時間外法定労働時間である1日8時間、週40時間を超えて働いた場合25%以上
時間外労働が月45時間・1年360時間などの限度時間を超えた場合
時間外労働が月60時間を超えたとき50%以上
休日法定休日に勤務した場合
※法定休日:4週間に4日間の休日、もしくは週に1回の休日
35%以上
深夜22時から翌朝5時までの間に労働した場合25%以上

このように、法定労働時間を超える労働や法定休日の勤務、深夜帯(22時〜翌朝5時)の労働には、それぞれ定められた割増率が適用されます。

運送業界では、長距離運行や夜間配送により深夜帯の勤務や長時間労働が発生しやすいため、時間外と深夜が重なるケースが多く見られます。この場合、会社側はそれぞれの割増率をどちらか一方に統一するのではなく、それぞれの割増率を合算して基礎賃金を計算しなければなりません。

正当な対価を受け取るためにも、基礎知識として頭に入れておきましょう。

参考:厚生労働省|しっかりマスター 労働基準法 割増賃金編
参考:和歌山労働局|休日(第35条)

割増賃金の基礎賃金から除外できる手当は7つ

運転手当のように労働への対価と見なされる各種手当は、割増賃金の基礎賃金に含めなければなりません。

しかし、例外的に基礎賃金の計算から除外しても良いと定められている手当が7種類あります。除外対象となる手当は、以下の7種類です。

割増賃金の基礎賃金から除外できる手当
  • 家族手当
  • 通勤手当
  • 別居手当
  • 子女教育手当
  • 住宅手当
  • 臨時に支払われた賃金(賞与など)
  • 1カ月を超える期間ごとに支払われる賃金

これらの手当は、労働者の個人的な事情や労働とは直接関係のない費用を補填する目的で支払われるものです。労働者の生活補助や家庭環境への配慮として支払われる性質が強いため、基礎賃金には含めません。

ただし、家族手当・通勤手当・住宅手当が従業員全員に一律で支払われている場合、労働者の個人的な事情には該当しないため、基礎賃金から除外できません。

参考:厚生労働省|割増賃金の基礎となる賃金とは?

月60時間を超える場合の割増賃金率引き上げについて(2023年4月1日~)

2023年4月1日以降、月60時間を超える時間外労働に対し、会社の規模に関係なく一律で50%以上の割増賃金率が適用されます。

企業規模改正前改正後
大企業50%以上50%以上
中小企業25%以上50%以上

法改正が行われる前は、大企業では50%以上、中小企業では25%以上の割増賃金率が適用されていました。制度改正後は、中小企業も大企業と同じ50%以上の割増賃金率が適用されています。

中小企業の定義は、資本金の額や出資の総額、常時使用する労働者数によって異なります。中小企業に該当するかどうかの判断基準は、以下の(1)と(2)の条件を満たすかどうかです。

業種(1)資本金の額または出資の総額(2)常時使用する労働者数
小売業5,000万円以下50人以下
サービス業5,000万円以下100人以下
卸売業1億円以下100人以下
その他の業種3億円以下300人以下

時間外労働が月60時間を超えている場合は、法改正後の割合で残業代が計算されているかどうかをしっかり確認しましょう。

参考:厚生労働省|月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます。

ドライバーの運転手当を含めた割増賃金(残業代)の計算方法

ドライバーの運転手当を含めた割増賃金(残業代)の計算方法

ここでは、以下の条件で運転手当を含めた割増賃金の計算方法を解説します。

条件
  • 月給:26万円
  • 運転手当:3万円
  • 無事故手当:1万円
  • 月平均労働時間:160時間

残業代が適切に支払われているかを確認するためにも、計算方法を詳しく見ていきましょう。

1.割増賃金の計算の元となる「1時間当たりの基礎賃金」を計算する

まずは、割増賃金の計算に使用する「1時間当たりの基礎賃金」を求める必要があります。

基礎賃金は、基本給に運転手当や業務手当、無事故手当などの各種手当を合算した金額のことです。前述で紹介した7つの手当は除外され、基礎賃金の計算には含まれません。

今回は月給26万円、運転手当3万円、無事故手当1万円と条件を設定しています。まずは月の基礎賃金を求めていきましょう。

月の基礎賃金【計算式】

26万円+3万円+1万円=30万円

したがって、今回の条件下での基礎賃金(月の合計額)は「30万円」です。

次に、基礎賃金30万円を月平均労働時間で割り、1時間当たりの基礎賃金を求めましょう。
計算式は以下のようになります。

1時間当たりの基礎賃金【計算式】

30万円÷160時間=1,875円

よって、今回の条件における1時間当たりの基礎賃金は「1,875円」です。

2.タイムカードやタコグラフなどから残業時間を集計する

次は、実際に労働した時間のうちどれくらい残業しているのかを集計します。前述の通り、割増賃金の種類は「時間外」「休日」「深夜」の3つです。

割増賃金の種類適用条件割増率
時間外法定労働時間である1日8時間、週40時間を超えて働いた場合25%以上
時間外労働が月45時間・1年360時間などの限度時間を超えた場合
時間外労働が月60時間を超えたとき50%以上
休日法定休日に勤務した場合

※法定休日:4週間に4日間の休日、もしくは週に1回の休日
35%以上
深夜22時から翌朝5時までの間に労働した場合25%以上

実際に労働した時間を正確に把握し、割増賃金の対象となる残業時間(時間外労働、休日労働、深夜労働)を種類ごとに集計しましょう。

参考:厚生労働省|しっかりマスター 労働基準法 割増賃金編

3.割増賃金を種類ごと(時間外・深夜・休日)に計算する

残業時間が集計できたら、時間外・休日・深夜の3種類に分けて割増賃金の額を計算しましょう。

今回は、ステップ1で求めた「1時間当たりの基礎賃金1,875円」をベースに、以下の条件でシミュレーションを行います。

条件
  • 1時間当たりの基礎賃金:1,875円
  • 時間外労働:28時間(うち深夜帯の労働時間が8時間)
  • 休日労働:10時間

 

割増賃金の種類計算方法
1. 深夜帯以外の時間外労働20時間の割増賃金本文1,875円×20時間×125%(※1)=4万6,875円

※1
割増賃金は、通常の賃金(100%)に割増率を上乗せした割合で算出します。
2. 深夜帯の割増賃金1,875円×8時間×150%(※2)=2万2,500円

※2
深夜(25%以上)+時間外(25%以上)で合計50%以上の割増率が適用されるため
3. 休日労働の割増賃金1,875円×10時間×135%=2万5,312円

参考:厚生労働省|しっかりマスター 労働基準法 割増賃金編

4.すべての割増分を合算して残業代の総額を求める

ステップ3で求めた時間外・深夜・休日の割増賃金を合算し、その月に支給される残業代を求めましょう。

割増賃金(残業代)の総額【計算式】

4万6,875円+2万2,500円+2万5,312円=9万4,687円

よって今回のシミュレーションでは、9万4,687円が1カ月分の残業代としてドライバーに支給されます。

ドライバー職における歩合給制の割増賃金の計算方法

ドライバーの給与は固定給だけでなく、歩合給制を取り入れている会社が多く存在します。歩合給制の場合、固定給とは違った方法で割増賃金が計算されるため、混乱するケースも少なくありません。

ここでは、歩合給制で働くドライバーが押さえておきたい割増賃金の計算方法を3ステップに分けて解説します。固定給との計算方法の違いを押さえ、給与が正しく支払われているかを確認しましょう。

1.基礎賃金(1時間当たりの賃金額)を計算する

まずは、1時間当たりの基礎賃金を求める必要があります。
今回は、以下の条件で割増賃金を求めてみましょう。

条件
  • 月の歩合給の総額:19万円
  • 総労働時間:190時間(法定内労働172時間+時間外労働18時間)

1時間当たりの基礎賃金は、歩合給の総額をその月の総労働時間で割って算出します。今回の条件での計算式は以下のとおりです。

1時間当たりの基礎賃金【計算式】

19万円÷190時間=1,000円

よって、今回の条件下での1時間当たりの基礎賃金は「1,000円」です。

2.1時間当たりの割増賃金額を求める(割増率は0.25)

次に、1時間当たりの割増賃金額を求めます。固定給制の場合、時間外労働に対しては通常の賃金に25%以上を上乗せして支払う必要があります。

一方、歩合給制は既に労働時間全体の対価が歩合給総額に含まれていると見なされるため、計算に用いるのは割増賃金としての上乗せ分(25%以上)のみです。

したがって、1時間当たりの割増賃金額は「1,000円×0.25」で250円です。

参考:厚生労働省|しっかりマスター 労働基準法 割増賃金編

3.「割増賃金額×残業時間」で割増賃金の総額を求める

1時間当たりの割増賃金額を求めたら、当月の残業時間を掛け合わせて割増賃金の総額を算出します。計算式は「250円×時間外労働18時間」で4,500円です。

割増賃金の計算に運転手当が含まれていない場合の対処法

割増賃金の計算に運転手当が含まれていない場合の対処法

運転手当は運転業務の対価として支払われる手当であり、本来は割増賃金の基礎賃金に含めて計算しなければなりません。しかし、会社によっては「手当だから基礎賃金に含めなくて良い」と誤解し、残業代の計算から除外しているケースがあります。

ここでは、割増賃金の基礎賃金の計算に運転手当が含まれていない場合の対処法を2ステップに分けて紹介します。

ステップ1|賃金が合っているか計算してみる

まずは、自分の給与明細と労働時間を確認し、実際の支給額と照らし合わせることが重要です。タイムカードや出勤簿、タコグラフなどを確認し、正しく給与計算されているかどうかを確認しましょう。

計算した金額と給与明細に記載されている残業代がかけ離れている場合、運転手当が基礎賃金に含まれていないケースがあります。

ただし、給与の計算は複雑で理解しにくいものです。自力で算出が難しい場合は「計算方法を確認したい」と会社の人事や経理に相談してみましょう。

ステップ2|会社の経理担当に再計算を依頼する

自分で計算した割増賃金と実際の支給額に差があった場合は、経理担当に再計算を依頼しましょう。このとき、ステップ1で計算した基礎賃金や割増賃金の計算過程をメモにまとめておくと、担当者に事情を説明するときに話が通りやすくなります。

相談する際は、「〇月〇日の残業分が給与に反映されていない」などと具体的に要件を伝えることが大切です。

給与の計算ミスは企業にとって重大な問題のため、支給額がいつもより少ない、もしくは多いと感じたら早めに相談しましょう。

割増賃金(残業代)の未払いが疑われる場合は弁護士に相談する

残業代や賃金の未払いが疑われるときは、弁護士への相談を検討しましょう。

残業代の未払いは、労働基準法第37条に違反する行為です。未払いの事実を証明できれば、法的に会社へ請求できる場合があります。

また弁護士に相談することで、残業代の未払いを裏付ける証拠集めが効率的に進んだり、会社との交渉を進めてくれたりと多くのメリットを得られます。

万が一裁判に進んだときも、弁護士が法的知識を基に主張してくれるため、早期解決につながる点もメリットです。

参考:労働基準法|第37条

割増賃金と運転手当に関するよくある質問

資格手当は割増賃金の対象ですか?

資格手当は、原則として割増賃金の基礎賃金に含まれます。

資格手当は、その業務を遂行するための資格取得に対して支給される手当です。業務との直接的な関係があり、労働の対価として扱われる性質が強いため、基礎賃金の計算に含める必要があります。

残業代の基礎賃金に役職手当は含まれますか?

役職手当も、割増賃金の基礎賃金に原則含まれます。

役職手当は、従業員の管理・監督など、その職務の責任に対して支払われる手当です。資格手当と同様、労働の成果や役割に対する対価として扱われるため、基礎賃金の計算に含める必要があります。

まとめ|割増賃金と運転手当の関係性を正しく理解しよう

ドライバーに支給される運転手当は、運転業務の対価として割増賃金の基礎賃金の計算に含めなければなりません。

割増賃金の仕組みを理解しておくことで、働いた分の給与が正しく支払われているかを判断しやすくなります。給与明細や会社の規定を確認し、運転手当がどのような扱いになっているかを把握しておきましょう。

ドライバーの仕事に興味がある方は、ドライバー職専門求人サイト「ドライブエックス」をご利用ください。ドライブエックスでは、トラックやタクシー、バスの運転手から、クレーン車やフォークリフトなどの特殊車両に関する求人まで豊富に掲載しております。ぜひお気軽にご利用ください。

ドライバーの仕事探しなら「ドライブエックス」

ドライバーの仕事探しなら「ドライブエックス」
  • 貨物・送迎・配送など多種多様なドライバー求人情報
  • 地域×給与×雇用形態など希望条件で選べる
  • ドライバー業界の求人を豊富に掲載!

ドライバー・運転手・配送の求人情報をお探しの方は「ドライブエックス」へ!

貨物・送迎等の多彩な求人をはじめ、地域や雇用形態など、
あなたの希望にあった求人情報をお届けします。